2011年03月15日

樋本淳監督より、メッセージを頂きました。

「クラシコ」の樋本淳監督より、メッセージを頂きました。



東日本大震災により被災された方々、およびそのご家族に、心よりお見舞い申し上げます。
私たちは、サッカーの「地域リーグ」というカテゴリーに興味を持ち、2009年の初めから一年間、撮影を行ないました。そして、撮影後の膨大な素材から見えてきたものは、当初は予想しなかった素晴らしい世界でした。
地域社会において、「地元のサッカーチーム」というものを象徴として、自らが育った街、自らが青春を過ごした街、大切な家族が生活する街を愛して、そこに自分のプライドを重ねる。だからこそ、小さな子供も、若者も、おじさんも、おばさんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、大切な試合にはスタジアムに駆けつける。そして、お父さんと息子が同じ色のユニフォームを着て、入場ゲートが開くのを楽しそうに待っている。おばあちゃんと孫娘が、手をつないでスタジアムへと小走りに歩いて行く。
東京を中心に生活していて、そんな経験が希薄な撮影スタッフには、そうした街の姿は「ユートピア」のように見えました。撮影中盤以降、私たちはそれを「かけがえのないもの」と名づけ、最終的に完成した映画の中でも、その言葉は「キーワード」となっています。
今回の震災において、「かけがえのないもの」が自然界の猛威によって引き裂かれました。人と人が引き裂かれる様子が、信じられない数に増えていくのを、ただ呆然と見てきました。私も多くの方々と同様、自分の無力さを感じながら、いま現在つらい状況を耐え忍んでいる方々への祈りのようなものをつぶやきながら、TV画面を見守っています。
以前仕事で訪れた陸前高田市は、素晴らしい街でした。石巻市には、私の共同経営者の大切な実家があります。また、被災された多くの地には、素晴らしい「Jリーグ」「JFL」「地域リーグ」のチームがあります。
私は、「クラシコ」について聞かれる度に、「東京の人間が失ってしまった、日本人の底力を撮ることが出来た」と答えてきました。これだけのダメージを受けた人々を前に「復興」を語るなど、おこがましい行為だと思います。それでも、あえて、この震災によって失われた「かけがえのないもの」を少しでも取り戻す、そんな「底力」の一端を担うために、自分に出来ることは何かを見極めていきたいと思います。
2011年3月15日   映画「クラシコ」監督  樋本 淳




posted by clasico at 10:23| インフォメーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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